終わりの始まり

14/15
前へ
/687ページ
次へ
一通り目を通し終えてから顔を上げると、普段通りの杉田さんがいた。 眉間に皺を寄せ、奥歯を噛み締めている。そんな杉田さんの姿に、なんだかとてつもなく安堵を覚えた。 「とりあえず署に戻りましょう。御家族の話と遺書の内容を照らし合わせる必要もあります」 杉田さんは「おう」とだけ呟き、進行方向へと身体の向きを変えた。 杉田さんの感情の起伏は目に見えやすいが、彼自身の言葉で喚き散らされたりはしない。こんな時、意外にも口数は減る。
/687ページ

最初のコメントを投稿しよう!

240人が本棚に入れています
本棚に追加