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一通り目を通し終えてから顔を上げると、普段通りの杉田さんがいた。
眉間に皺を寄せ、奥歯を噛み締めている。そんな杉田さんの姿に、なんだかとてつもなく安堵を覚えた。
「とりあえず署に戻りましょう。御家族の話と遺書の内容を照らし合わせる必要もあります」
杉田さんは「おう」とだけ呟き、進行方向へと身体の向きを変えた。
杉田さんの感情の起伏は目に見えやすいが、彼自身の言葉で喚き散らされたりはしない。こんな時、意外にも口数は減る。
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