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最後の一音を奏で終わった少女は、腕を下ろした後俺の方へ視線を向けた。
驚いている様子はないから俺が来たことに気づいていたのだろう。
瓦礫の山から飛び降りた少女の着地は鮮やかで、大きな音はたたなかった。
金色に輝く髪は月明かりのせいだと思っていたが、影に入っても見慣れない薄茶色に見える。
つり目の中心には蜻蛉玉のような翡翠色の瞳が据わっているから、外国の血が多少混ざっているのかもしれない。
目の前まで来た少女は俺の足先から顔までを眺めた後、無表情で言い放った。
「桐生黎さん。狭間の世界へようこそ」
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