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出勤してまだ数分と経っていない筈であるのに、杉田さんは再び外に出ていく気満々だ。必然的に杉田さんと組んでいる俺も外出することになる。
睡魔で落ちてしまいそうな頭を無理やり上げ、椅子から腰を浮かせた。
椅子の背へ適当に掛けておいた薄手のコートを羽織る。まだまだ冬には早いが、上着がないと肌寒さを感じる時期になってきた。
「待て、杉田。桐生も」
杉田さんと共に部屋を出て行こうとした瞬間、背後から不意に声がかかった。
振り返ると、黒田さんが珍しく眉間に大きな皺をつくっている。
白髪混じりの髪を清潔に整えている黒田さんの外見は、実年齢よりも若々しい。
杉田さんと同期であるとはとても思えない。
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