第一夜 幻想画廊にて

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行ってみて正解だったかもしれない。 少しの嬉しさと満足感を抱えた私は、いそいそと包装を解くと、早速寝室にその絵を飾った。 寝具に着替えリビングを通りかかった時、ふとテーブルの上の紙袋が目に入った。 「コレらは、セットで一つなンですヨ」 私はその紙袋を持って、寝室に引っ込んだ。 紙袋から出てきた本は、何かの小説のようだった。 題名は表紙には見当たらない。 作者名もまた然り。 革表紙の滑らかな手触り。 少し古めかしいその装丁に、触手が動かされた。 私は本を読むことも、大好きなのである。 小さな頃は、特に童話が好きだった。 とにかく、この本は睡眠の友としては最適かもしれない。 このままただ目を瞑ったら、またあの場面が蘇りそうだったから……。 私は枕に頭を沈めると、本を開いた。
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