第二夜 追憶の城にて

6/15

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
女の子は、もっと豪華な感じだと想像していたので物足りない気がしましたが、かえって好感が持てました。 それでも室内はとても広く、そういう面でも驚かされました。 靴を脱がなくてもよいことにも驚きました。 居間らしい所に通されて、大きなシャンデリアや、先ほど外から見えていた綺麗な刺繍がされた白いレースのカーテンなど、物珍しい、いろいろな物を見ていると、「王子様」がトレーにカップとシュガーポットとケーキを乗せて持ってきました。 紅茶のいい香りがしました。 でも、その香りは女の子が飲んだことのある紅茶の香りとは違っていました。 「さあ、お食べ。遠慮することなんてないから」 「王子様」は、微笑みながらそう言います。 女の子は恐る恐るカップに手を伸ばし、琥珀色の液体に口つけました。 とても、不思議な味がしました。 女の子は思わず 「おいしい」 と、言っていました。 すると「王子様」が、これはローズティーと言ってバラの花が入っているんだよ。と教えてくれました。 バラの花? バラの花が入っているなんて! 女の子は、声をあげてしまいそうでした。 女の子は、いつも裏の庭に咲くバラを見て綺麗だと思っていました。 絵本の中でもバラは必ずといっていい程出てきます。 そして、この「お城」もバラで埋もれていました。     
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加