第二夜 追憶の城にて

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女の子はまるで、自分の空想の中に迷い込んでしまったようだと思いました。 いずれこの空想からまた、現実に引き戻されるのではないかと思い、思わず身体が震えました。 「どうかしたのかい」 女の子はその声で、気が付きました。 目の前には「王子様」がいて、女の子は心底ほっとしました。 年は、二十代後半位でしょうか。 少し長めの柔らかそうな髪で、透き通る程に肌が白く、着ているシャツの白さとあまり変わらないくらいでした。 顔立ちもかっこいいと言うより、美しいと表現した方がよいでしょう。 背丈と声を除けば、女の人のようでした。 「白雪姫が好きなのかい?」 彼は女の子がケーキを食べ終わりそうな時、聞きました。 女の子は、思わず膝の上にある絵本を見ました。 彼は続けます。 「こんな遠い所まで持って来るくらい、好きなんだね」 女の子は、ぽつんと言いました。 「お友達なの。大切な、大切な……」 「王子様」は、その一言で女の子の孤独さを悟ったのか、少し悲しそうな目をしましたが、すぐににっこりと笑って、 「じゃあ、おじさんとも、お友達になってくれないかな?」 と言いました。 女の子は、耳を疑いました。 そして、言い知れない嬉しさが込み上げてくるのを感じました。 女の子は、いつもひとりぼっちでした。     
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