4.手紙

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派遣会社との話し合いも済ませ、猛は自宅でスイスからのメールを確認した。 スイスで安楽死をした場合、亡骸はその団体に頼んで処分してもらう。 遺体は飛行機に乗ることはできない。 母の入る墓に一緒に入るつもりはなかったし、追加料金を支払えば団体で処分してくれるというのだから、死んだ後のことは気にしないでいいかもしれない。 ネットで実際に家族が安楽死を受けた人のブログを読んだ時、遺体を連れて帰ることができなかったことを後悔していた。 自分にはそんな後悔をしてくれる人はもういない・・ 考えるだけで孤独の闇は猛を包み込んでいく。 しかし、間もなくそんな悩みも終わる。 死は誰にでも平等に訪れるのだ・・ その後猛はスイスの団体と日程を詳細に調整し、日本を立つ日を決める。 住む部屋の解約をし、飛行機の座席の予約をし、1つずつ確実に準備を進めていく。 その瞬間にも少しずつ身体の動きは重くなっていく。 少しでも悠長に構えてしまえば、出国するタイミングを失うのだ。 日本に残れば、病床に磔られ、消極的な協力を受けつつもじわじわと死に向かうことしかできないのだ・ 何より、その時、自分が星野猛であるという自覚を保っていられるかさえわからない・・ そうなる前に、自分の意思で自分を葬る。 この世界に自分を引き留めておくモノはもう何もないのだから・・
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