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スイスに着き、空港から出る。
空を見上げると、そこには日本と同じ色の空が広がっていた。
この空の雲はどこへ流れていくのだろうか・・?
かつて空を見上げたことがあった。
その時の空もこんな青空だった・・
「この空の雲は・・日本まで流れていくのかなあ・・?」
純粋な疑問が頭に浮かび、少し笑みが漏れる。
終の旅路の途中でこんなにも安穏として情景を楽しめるなどとは・・。
それでも着実に時間は進む。まるで絞首台の階段を一段ずつ踏みしめて上るように・・
見渡すと団体のスタッフが迎えに来ていた。
「こんにちわ・・星野さん。」
スタッフは日本語を話した。このところ日本からの依頼も増えたようで、英語以外を話せるスタッフを増やしているらしい。
彼の運転で団体の施設に向かうことになった。
道中、話をすることもなく景色を眺めた。
スタッフの彼の名前を聞かず、世間話もせず・・
すぐに別れを迎える相手と関わることを、おそらくお互いが避けたかったのかもしれない。
こうして施設の前に着く。
「まず、星野さんには当団体所属の医師の診察を受けて頂きます。
診断書は確認させて頂きましたが、間違いがないようにこちらも診断する必要がありますので・・。その後は用意させて頂いた部屋で過ごして頂きます。
診察が済みましたら、玄関前の受付までいらして下さい。」
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