プロローグ

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

プロローグ

 8月20日、私とりっくんがお付き合いを始めた日。丁度、今日で付き合い始めて3年になるということで、りっくんの家に遊びにきていた。リビングに置いてあるソファに座りながら、バラエティー番組を一緒に観ていた。 今思うと、出会って5年、付き合い始めて3年とは長いようで短いような微妙な長さだと思う。でもその3年間、本当に些細な事で喧嘩したり、口を利かなかったりと色々あったけどそれでも、月日を共に過ごしてきた。今思うと本当に長いなぁ……。なんて、今までの思い出を振り返っていると、ソファの隣に座っていたりっくんが「あのさ……」と遠慮がちに言うので「どしたの?」と聞くといつも以上に真剣な顔をして、 「美緒、少しだけ僕の話を聞いて欲しい。きっと君は覚えていないと思うんだけど、この話は僕たちにとってはとても大切な話なんだ。ってそんなふくれっ面しないでよ。ちょっとした思い出話だと思って少しだけ付き合ってよ。」 そういうと、りっくんは自室から5年前のカレンダーと一冊のノート、手のひらに乗せられるほどの小さい箱を持ってきた。クラフト紙でできたノートの表紙には『日記帳』と書かれていて、中の紙も少し黄ばんでおり、小さい箱には青いリボンが掛けられていた。それらを持ってきたりっくんは、愛しそうにそれらを眺めていた。なんだか、私の知らないりっくんがいるようで少し寂しかった……。 「ねぇ、なんで話すだけなのに5年前のカレンダーやら古ぼけたノートとかが必要なの?」 「今から僕が話す中に出てくる必需品なんだよ、これ」 「ふうん……」 「どこから話そうかな……。やっぱり、僕がこの日記を書いた子と出会った時から話そうか」 そういうと、りっくんは日記帳を開いて話し始めた
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!