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エピローグ
「りっくん、なんで今日そんな話をしようと思ったの?」
さっきまで、このリビングには感動的な空気が流れていたが、私はふとした疑問をりっくんにぶつけてみた。
「……本当は、話さない方がいいかなって思ってたんだけど……。時々、あの日記帳を読み返すと、美緒に『あの時から変わらず、君は僕の彼女ですよ』って伝えたくなるんだ……。」
照れながら言うりっくんは、「それに……」と続けて
「泣きながら最後の日記を書かなくちゃいけないくらい、僕の事が好きって分かったのに、僕の気持ちを伝えなくてどうするの?」
そう言うと、りっくんは自室からピンク色のリボンが掛かった小さな箱を持ってきた。
「……遅くなったけど、受け取ってもらえますか?」
「何を改まって……」
そのあとに、言葉は続かなかった。何故なら、りっくんが持ってきた箱の中身に驚いたからだ。銀色の指輪。それが示していることが分かってしまったから……。
「水崎美緒さん、僕と結婚してください」
「……、はい!」
私は驚いているのか、嬉しいのか分からず、涙を流しながら左手を差し出すと、りっくんはにっこりしながら薬指に指輪をはめてくれた。
私とりっくんがしている指輪は違うけれど、指輪に込められた思いは一緒。だから、これからは今まで以上に一日いちにちを大切な人と一緒に過ごしていきたいです。
追伸
のちに、聞いた話だけど、私が記憶を失ってから再び告白する日を8月20日にしたのは、りっくんにとってもこの日は大切な日だからだそうです。
水崎美緒
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