プレゼントとの別れ方

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 夜中のコンビニから出てきた咲紀の両手は右手は肉まん、左手はレジ袋と折りたたんだキャリーカートで塞がっていた。  メッセージカードを含むプレゼント類は全て宅配サービスに託された。  荷物の宛先は元恋人、ではない。彼の新しい彼女宛に送ったのだ。  破局後、引っ越した彼の住所を咲紀は知らなかったが、彼の新恋人の住所は知っていた。なぜ彼女の住所を知っていたか。自分の友人として彼女を彼に紹介したのは咲紀だった。  昼間に立てた計画とは多少違うかたちになったものの、無事に自らの責務を果たした咲紀は途端にいままで無視してきた己の空腹に気付き、配達手続きのついでに弁当とつまみとビール、それから家に着くまでに耐えられないと肉まんを買った。アパートに帰ると早速レジ袋の中身を広げて動画を見ながら行儀悪く食事をしたが、自分の行動に対しての興奮がなかなか醒めず、ようやく寝付けたのは夜がすっかり明けてからだった。
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