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「私といて楽しい?」
彼女の言葉に僕は笑う。
「楽しいです」「幸せです」「夢みたいです」
僕が好きになった彼女はいつも一人だった。笑顔を見せることのなかった彼女が僕の前で笑ってくれる。
「三好さんのことがずっと好きだったんです。だから一緒に居られるだけで嬉しいんです」
「……ごめんなさい」
俯く彼女が鞄から取り出したのは今まで僕があげたプレゼントの数々。
「本当に欲しかったのは、これじゃない」
「そんな……」
どれも彼女に似合うだろうと思って僕が選んだ物。「ありがとう」と笑ってくれたけど、一度も身に付けてはくれなかった物。
好みではなかったのだろうか?それなら早く言って欲しかった。すぐに代わりのも物を用意したのに。
「それなら捨ててください。そして何が欲しいか聞かせてください。三好さんが欲しい物を買ってきます」
「それは無理」
「どうしてですか?」
彼女が何を求めているのかが分からない。
まさかとてつもなく高価な物を要求しているのだろうか?だから僕には用意できないと?
「私が欲しいのは……貴方」
「……へっ?」
「毎日、名前を呼んで欲しかった。笑って欲しかった。私を、見て欲しかった。プレゼントは嬉しかったけれど、貴方が無理をしているのは分かってた」
「ごめんなさい」と、また声がした。
「早く言えばよかった。私の為に、ありがとう」
まるで別れの言葉のように聞こえて、僕は思わず彼女の肩を掴んだ。
「三好さん」
真っ直ぐに見つめ、
「僕は、三好さんが好きです」
だがら付き合ってください。と、二度目の告白をする。
間違えたのならやり直せばいい。
今度は、彼女が欲しいものをあげればいい。
「望んでばかりの私を望んでくれるの?」
「はい。その代わり、僕にも三好さんからプレゼントををください」
「何が欲しい?」と問われ、僕は笑った。
「まずは笑顔をリクエストします」
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