はるかぜ

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☆☆映画館、ここが俺のバイト先だ。 制服に着替えて配置に着く。今日は窓口での勤務だ。最近では自動券売機でのチケットの販売か主流となっているのにこの映画館では未だに有人窓口での販売を主としている。 接客中は常に笑顔を心がけている。1番面倒なのはクレームだ。クレームを減らされるなら笑顔でもなんでもしてやる。 「あー、早崎さん。おはよーございまーす」 隣の窓口ですでに勤務しはじめていた柳瀬が言う。 「今日も暇ですよー。平日の遅出の時間帯に観に来ないでしょー。あー、早崎さんは別かー。」 「おはよう。暇で何より。別ってなんだよ」 と少し笑いながら返した。柳瀬は俺が入った1ヶ月後に入ってきた後輩だ。学年は同じで、休日に遊びに行ったりもする友人だ。 「いやー、早崎さん目当てでここ来る人多いっすからねー。早崎さんとこだけめっちゃ並ぶでしょ~。」 「勘弁してくれ…」 俺は苦笑いで返すしかなかった。接客中常にニコニコと笑顔を振りまいていたらいつのまにかついたあだ名は"王子" それを聞きつけたローカル番組が街のイケメンを探す企画を提げてこの前放送されて以来、俺のファンとかいうやつが映画館に来るようになった。 キャーキャー言われるのは嫌いじゃない。嫌いじゃないが、くるのは当然女性ばかり。 .
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