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「その…安堂さんの真意は、わかりませんが、私も、同じ意見です」
「ぇ…?」
「愛さんは、知らなくてもいい事だと思うし、僕も、教えたくない」
「ぇ…それは…いろいろと…問題が…ある…から?」
と、哲哉さんの背中を見遣りながら、質問をぶつけた。
「そうじゃありません」
ひとつ息をはいて、オレの手を握り直すように優しく包んでから、言葉を続けた。
「あなたと僕は、同性だし大人だから、そういう問題は、無いと思う。 ただ、その事を知ってしまうと、あなたが汚れてしまいそうで…」
「オレなんて、とっくに汚れて_」
「汚れてない!」
「…ぇ…?」
オレの手を包み込んでた手で、今度は、頬を包んでくれた。
「あなたは、全く汚れてなんか無い! 寧ろ愛さんといると、僕の心の汚れまで清められます。」
「大河内…さん…。オレ…」
何も知らないままでいいのかな…?
不安でいっぱいのオレに、大河内さんは、オレの頭をクシャクシャっとして、
「愛さんは、何も悪くありません」
と、とびきりの笑顔をくれた。
今は…その笑顔に甘えていたい…。
「んじゃ、帰るぞ」
こっちに振り向いた哲哉さんが、何事も無かったように、仕切りなおしてくれた。
「オレには何も聞こえてこなかったけど、オマエも、そうだろ?」
と、加藤さんに、肩を組みながら同意を求めると、
「もちろんです」
と、笑顔で応えてくれた。
オレは、沢山の人に支えられてる。
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