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「オレも…」て、言いかけた時、藍が一歩早かった。
「さっきはオレ……、頑張ったなって言ったけど…ホントは、嫌だった。 お前が、オレの腕の中から、どっかに行っちまいそうで…」
「…藍? オレ…どこにも行かないよ?」
オレは、今日、
藍の傍に居られなくてもいい、
藍に対するみんなの誤解を解きたい
そう思って、ここに来た。
でも…でも、それは違った。
「これからも、ずっと傍に居たいから頑張ったんだ」
「…愛」
ほんのり紅い目許と濡れた瞳、艶のある唇が近づいてきて…
ああ…このまま、奪われちゃってもいいかな?なんて…
ウォホンッ!
誰かの咳払いが…
「テツ。今のは邪魔して良かったよな?」
「そうだね。ここには、ベッドも無いしね」
危ない…流されるところだった。
「名残惜しいかもしれないけど、そろそろ…」
哲哉さんが、申し訳無さそうに呟いた。
そうだよね。お昼休みも、そろそろ終わるだろうし…。
そう思って、藍を見上げると、藍も、ようやく身体を離してくれた。
「愛?」
「ん?」
藍は、オレの指に指を絡めてきた。
離れたくないとでも言うように。
「今晩、電話する。大事な話があるから」
「ぁ…オレも! 話したい事、いっぱいある…!」
藍は、クスッと笑うと「そうだね」と、呟いた。
そこへ終わりを告げる予鈴が_。
「ぁ…あの…これだけ…」
藍は、優しく小首を傾げて、オレが話しやすいように待ってくれてる。
「黒髪も素敵だったけど…やっぱり、その髪と瞳が好き。オレの天使みたい」
「なっ…!」
ボンッと音がするんじゃないか?と思うくらい、一瞬で顔が赤くなった藍。
「ぉ…女でも口説いてんのかよ。馬鹿言って無いで、早く帰れよ」
「ぅ…うん…」
うーん。藍の赤くなるポイントが、いまだにわからない。
好きだなんて言えない 3 end
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