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「……、……、……い?……あい?愛?」
「ん?……ん……あ…お?」
「起こして悪いな」
「ん?…ううん。…おはよ」
あれ?いい匂いがする…
あ…もしかして…?
オレは、ガバッと勢い良く起きた。
「ごめっ…朝ご飯作ってくれたの?」
「そうなんだけど…そうじゃねぇ」
ん?オレは、小首を傾げてみせた。
「お前の携帯…さっきから鳴ってる」
オレに電話なんて誰も…
「ずっと鳴ってるから、つい見ちまったんだけど…画面に“一条さん”て…」
ん?…いちじょう?
まだ寝ぼけていた思考が、しだいにはっきりしてくる…
と同時に、オレの耳にも携帯の着信音が
響いてきた。
いち…一条…て…
ぅ…
うわあぁぁぁぁっっ!!
その着信音を頼りに携帯を探し出し、
急いで電話に出るオレ。
「い、一条さん?!」
『やっと出ましたね』
ため息混じりの声。久しぶりに聞く。
「すみません。ご無沙汰してます」
『いえ。積もる話もございますが、今は、要件だけ。社長がお呼びです』
「え?父さんが?」
オレの口から、『父さん』の言葉を聞いて、身内の話と判断したのか、藍は、下に下りて行った。
「あの…父さんが何か…?」
『その前に、確認させていただきたい事が御座います』
「…はい」
『今、紫津木様の御自宅アパートに、いらっしゃるのですか?』
ぇ…
父さんは、オレの口から、何を知りたいのか…
嫌な予感しかしなかった。
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