1.過去の代償

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『…いらっしゃるのですか?』 さっきよりも、強い口調だ。 「…はい」と、正直に答えると、 『…そうですか』と、再びため息。 「…それが何…? ていうか、何で知ってるの?」 『…愛さま?』 「?…はい」 『今、幸せですか?』 「え?…ぁ…はい。幸せだよ」 『……では、1時間後に、本社の社長室までお願いします』 「え?ちょっちょっと待って!どういうこと?」 他にも、いろいろ訊きたい事はあったが、 「今日じゃなきゃダメなの?」 『今回に関しましては、愛さまに、選択権は御座いません』 「…わかった」 デートが… 『愛さま?…これは、私、個人からの助言なのですが…』 電話の向こうの空気が変わった。 『紫津木様の事は、勿論、これまでの私生活の事も、社長から訊ねられると思います』 「…私生活…?」 『ですので、お考えを纏めておかれたほうが賢明かと…』 私生活_て?オレ…何か悪い事した?   悪い事… ぁ… まさか… ぇえ? いや…でも…嘘…でしょ…? もしかして…父さんに知られた? そういう事? 『愛さま? 社長は、いつでもあなたの味方ですよ』 うん…それは、わかってる。 でも… 「だからって、オレが願ってる未来を父さんも願ってるとは限らないよね?」 一条さんは、それには答えてくれず、 「では、1時間後に」と言って、電話を切った。
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