3. 好きだからこそ…

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「ケン…カ…?」 『そう。アイツにしては、珍しいんだよな。今まで、しょっちゅう絡まれてたけど、ケンカなんて、買った事ねぇのに。 アイツも、相手(ヤンキー)も、理由訊いても何も話さねぇんだよ』 「ぇ…と…ケ、ケガは?」 『ああ。それは、大丈夫。 相手が、一方的にヤられただけだから』 「ぁ……良かったぁ……」 相手の人には悪いけど、とりあえずは、安心した。 でも… 「…学校に…居辛くなってる?」 『まあ…クラスの連中は、気にしてねぇけど、学校の中には、完璧人間の紫津木藍を疎ましく思ってた連中も、居るからね』 モデルの紫津木藍が、普通の高校生に戻れてた唯一の場所なのに… 酷い。 何かオレに出来る事は、無いだろうか? 『だから、ちょとの時間でも会ってやれねぇかな?』 「……え?」 『そうすれば、ちっとは元気になると思うんだよね』 いや…ちょっと待て… 会えるのか…? ……無理だ。 今、このタイミングで会ったりしたら、書き込まれた内容が、本当という事になってしまう。 「ダメ…会えない。……会っちゃいけない…と思う」 『ぇ…ぁ…噂の事、気にしてんなら、オレらがフォローするから、大丈夫だよ』 違う… 「藍にも、みんなにも、これ以上迷惑かけられないから…ごめんね」 『な…っ、ちょ…っ』 オレは、強制的に通話を切った。 考えなきゃ。 オレに出来る事。 ん?あれ?モサ男って、高校生だった? えっ? いや…人の年齢は、わかりづらい。 安堂に、確認だ。 それから? オレに出来る事は? オレにしか、出来ない事は? オレだから、出来る事… 1つしか、思い浮かばない。 でも…それが可能なのかどうか。 実行するのは、オレだけど… その前に、いろんな人の協力が必要になる。 迷惑もかけちゃうかも… でも…これしか思い浮かばない。
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