3. 好きだからこそ…

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紫津木藍side 「オレに何か隠してんだろ?」 目の前で、ココアメロンパンを頬張る北本を睨む。 「何かって?」 ヘラヘラっと笑って、オレの追求をかわす。 今は、昼休み。 オレら2人は、自席で昼メシを食っている。 「朝から、様子がおかしいんだよ」 特にクラスの奴らは、顕著に表れている。 昼休みに入った途端、ソワソワしやがって。 「これから、何かあんのか?」 「別に?」 コイツに訊いてもムダか。 1つ溜め息をつき、北本がオレのためにと言って、頼みもしねぇのに買ってきてくださった焼きそばパンに、かぶりついた。 「…今日は、マキと食わなくていいのか?」 「…ああ。何か先約が、あるんだってさ」 校庭を眺めながら、気持ちの入っていない返事が、返ってくる。 ったく…何だっつーんだ? 懐疑心だらけの気持ちで、北本を観察していると、さっきから、外ばかり気にしてるような… 「…誰か、待ってんのか?」 「誰かって?」 ずっと、この返しだな。 そう、オレに気のない返事をしたと思ったら、急に姿勢を正し、カーテンを勢い良く閉めた。 何だ? 「ああっ!オレも、愛されたいな!」 「は? つか、どした?」 それより、今…教室の空気、変わったよな? クラスの連中を見ると、ピタリと動きが止まっていて、逆に、オレの動向を見守っている感じだ。 そっちがそうなら、揺さぶりかけてみるだけ。 「オレ、ションベン」 教室の後ろのドアを開けようとすると、クラスの2人が、目の前に立ちはだかった。 は? 「紫津木くん。モデルさんが、そんなお下品な言葉、使っちゃダメ」 「オイ、北本。説明しろ」 「それは…」 『こちらは、放送委員会です。お昼の緊急放送をお送り致します』 タイミング悪ィな。 オレは、北本に逃げられないように、胸ぐらを掴んで離さないでいた。 『2ーAの北本くん。主役は、拘束できてるのかな? 確認のしようが無いので、勝手に進めます』 「拘束されちゃってるけどね」 何が始まんだよ。
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