3. 好きだからこそ…

27/37
前へ
/103ページ
次へ
『実はこちらに、向川の公式サイトで、今、話題、になっているあの内容について、是非、謝罪させて欲しいという、ゲストの方がお見えになっています』 ん? 何か引っ掛かり、スピーカーに目が行く。 『ぁ…あの…ぇ…と…オレ…じゃなかった…私は、みんなのつぶやきというコーナーで、男娼と書き込まれました、如月愛と申します』 …は?!! 『今回のこの内容で、皆様に不快な思いをさせてしまった事について、深くお詫び申し上げます。 本当に申し訳ございませんでした』 「ぁ…んのバカ! 何考えてんだ!」 オレは、北本を放し、ドアを開けようとしたが、今度は、クラスの奴ら全員で、オレの動きを阻んできた。 「行かせろ! オマエらも、何考えてんだ!」 『それと、オ…私と深く関係していると書き込まれた、紫津木藍さんの釈明も、させて下さい』 「はあ?…いいから、退けッ! 北本!アイツが、何を話そうとしてんのか、オマエ、わかってんのか?」 「…わかんねぇけど、愛ちゃんと約束したんだ。全て話すまで、紫津木を教室から出さない…て」 「…全て…て…んなの、ダメに決まってんだろ!」 コイツら…! 手ぇ出す訳にいかねぇし…チッ どうしたら、いいんだ! 『私は、昨年の9月から、約一年に渡り、男性を相手に身体を売って参りました』 「クソッ…!」 愛の告白を聞いて驚いたのか、抑えこまれてる力が緩んだところで、すかさず抜け出した。 どうする?ドアがダメなら、窓? 窓際に駆け寄り、窓の外を覗く。 ここは、3階だ。 だが、ここしかねぇ。 なんとか伝って、隣の教室まで行けねぇか? 『そうするように、ある人物に脅されたんです。 …脅された内容は……ここでは、申し上げられません』 ダメだ…考えてる暇はねぇ。 オレは、勢い良く窓を開け、枠に足をかけた。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

455人が本棚に入れています
本棚に追加