3. 好きだからこそ…

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身を乗り出し、もう片方の足も乗せたところで、後ろから、腹の辺りにしがみつかれた。 「紫津木!早まるな!落ち着け!」 「うっせぇ! つか、お前が落ち着け。オレは、隣の教室に、行きたいだけだ」 「何考えてんだ!3階だぞ!」 「こうでもしなきゃ、あの放送止められねぇだろ!」 『……多い日で…5人…相手しなきゃ…いけなくて…』 !!……っな事まで…! 一瞬、気が緩んだ隙に、教室の中に引きずり戻された。 だがオレは、直ぐに窓に向かう。 アイツ、どこまで話す気なんだ。 窓枠に手をついた瞬間、今度は、羽交い締めされた。 「オイ!最終手段だ。アレ持って来い!」 アレ? 1人の男子が、ガムテ?のような物を持ってきた。 「縛れ!」 は? なんて考えている間に、4人がかりで、つま先から肩の辺りまでグルグル巻にされて、一見ミイラのようなオレが出来上がった。 「北本!テメェ!何考えてんだ! 解け!」 『……ゲイの人だけじゃなくて…興味本位で、オレの身体を……触りにくる人達もいて… 写真撮られたり…屈辱的…で…死にたい…と…毎日…思ってました』 ぁ…あ…い…愛…!愛! 「ゃ…やめろ! 止めてくれ!」 クソッ! 『……毎日…怖くて…怖くて。 朝が来るのが、怖くて。 でも…そんな…毎日の中で…気づいたんです。感情があるから、怖いんだ…て。 だから…人形になる事にしたんです。 ただ…男達に、身体を開くだけの人形に…』 「うわあぁぁぁっっ!! オマエら聞くな!耳、塞いでろ! クソッ……オレが、オレが悪いんだ!オレが…こんな…モデルなんて仕事してるから… 愛の過去が、晒される事に…! ごめん…こんな…大切な人、一人守れないなんて…」 情けねぇ…
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