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「藍は、毎日のように追い返してくれて…
最初は、申し訳無い気持ちで、いっぱいだったけど…その背中を見つめているうちに…
守られている事に対して…嬉しさの方が、勝ってきちゃって…
でも、今思えば、藍を矢面に立たせちゃいけなかったんです。何故なら…」
落ち着け…これを言うために、今日、来たんだから。
「何故なら…追い返した男達の中に、この書き込みをした人物も、居たからです」
教室の音声を拾うスピーカーから、ざわつく声が聞こえてきた。
「この人物は、私を何度か…買っています。
敢えて今は、名前を公表しません。ですから、これ以上、藍と私に対する嫌がらせ行為を止めていただきたいんです。
藍と私の、どの行為が、あなたの怒りに触れたのかわかりませんが、藍にとって唯一、素の高校生に戻れる場所を取り上げようとした、あなたの行為は、許せません!」
そこへ、スッと哲哉さんがオレの前に現れ、マイクの前に立った。
オレを背中に隠すその仕草が、藍と重なり、胸がチクッと痛んだ。
「同席させていただいております警視庁警備部須藤哲哉です。今日は、プライベートで来てるんだが、いつでも、仕事の顔に戻れるから、そのつもりで」
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