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「はい、八束賢人さん」
新幹線で席に着いた小瑚奈は、買っていた、温かい缶コーヒーをひとつ差し出した。
「……気が利くじゃないか。
ありがとう」
と受け取ったあとで、賢人は、
「待て。
お前、あんまり金ないんじゃなかったのか」
と言ってくる。
「大丈夫ですよ。
今、千円崩したから、まだ、三千えーと……」
と呟いていると、俺が払う、と賢人は言い出す。
「いえいえ。
大丈夫ですよ。
私に奢ってるうちになくなっちゃいますよ、三万円」
と言いながら、小瑚奈は缶を開けた。
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