お年玉をもらいました

20/24
前へ
/31ページ
次へ
「そりゃあ、ぱっと見、お前のそのロクでもなさはわからないからな。  いいところのきちんと育てられたお嬢さんに見えるし、それに――」  それに? と訊いたが、賢人は黙る。 「……まあ、俺を現ナマで買おうとした女には見えないってことだよ」 と間を置き、言った賢人は、もう着くぞ、降りろ、と話をまとめた。  小瑚奈は病院のロータリーでタクシーを降りながら、なんで、距離空けて座ってんだ、という、さっきの賢人の言葉を思い出していた。  貴方も相当距離空けてましたけどね。  っていうか、緊張してるんですよ、私も、と思いながら、賢人の後をついて、大きな病院のエントランスを歩いた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

611人が本棚に入れています
本棚に追加