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二人はバスを待つ列から離れると、なんとなく、病院前の海沿いの広い国道へと向かった。
こういう大きな道を歩いていたら、いつか帰れそうな気がするからだろうか。
「まあ、陸続きですし」
と小瑚奈が言うと、
「気の長い話だな、おい……。
ところで、お前、年明け、まだ間もないのに、十万円、なんに使ったんだ?」
と訊かれる。
「七万ですってば。
寄付しました」
「寄付?」
「商店街を歩いていたら、いたいけな子どもたちが行きも帰りも、あっちこっちに立っていて、寄ってたかって、
『募金お願いします~』
って言うんですよ~」
「……莫迦なのか、お前は」
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