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「は? いや、今すぐにとか」
今、新幹線に乗る金が……と賢人は言いかけて、こちらを見た。
賢人は舌打ちし、
「すぐ行く」
と言って、スマホを切った。
「すまないが、ちょっと貸してくれ。
あとで、お前の話には付き合ってやる。
金はあとで返すが」
そう言って、金を受け取った賢人は、ちょうど教授が乗ってきたタクシーが出て行こうとしたのを止めていた。
最寄りの駅の名を告げた彼は、
「一緒に乗り込むなーっ」
と小瑚奈を振り向き、叫ぶ。
「いえいえ。
何処に行かれるのか知りませんが。
途中でお金が足りなくなったら困るじゃないですか。
私のことは、足のついたお財布だとでも思ってください」
「……お前、そんなに現金持ってんのか」
物騒だろうが、と心配してくれる。
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