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「俺はお前の理想の王子様じゃねえぞ」
「はい、全然違います」
おい、と言う賢人と視線を合わせて、小瑚奈は言った。
「なのに、貴方が気になるんです。
どうしてでしょうね。
人は自分とは反対のものに惹かれるというのに」
「だから―― 反対だからだろ」
「いいえ。
貴方と私は似てる気がするんです。
不器用なところとか」
と小瑚奈は微笑む。
「まあ……不器用なのか?」
と小瑚奈を見下ろし、賢人は言ってきた。
「いきなり、俺の頬を札びらではたくような真似をするし」
「はあ。
あまりにも世界の違う方なので、どうやって近づいたらいいのか、わからなかったんです」
そんな小瑚奈の告白に、いや、それにしても……と賢人は異議を唱える。
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