こたつ

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だが、ここでさらに問題が起きる。 ごく普通のご家庭では、やはり家族みんなでこたつに入るだろう。 利用する人数が増えれば、こたつ内の空間が狭くなる。 私としてはこたつに入る時座るのではなく寝そべる派なのだが、家族で使う場合はなかなかにそう出来ないだろう。 兄弟などがいれば、陣地争いも発生する。 かく言う私も幼少期に壮絶な陣地争いを行なったものだ。 自身の陣地を広げるために、兄弟の足などをわざと蹴ったり。 最終手段は、自身の持つジュースを敢えて分け与え、トイレに立たせその間に陣地を広げる…。 そのような知略に走ることも少なくはなかった。 だがしかし、トイレへ立つ事は自然の摂理、いわば逃れる事のできない運命。 先に逝くのか後に逝くのかの違いだけ。 席を立った者に、残される陣地は皆無なのだ。 こたつは悪魔のような誘惑で人間を虜にし、さらにはその罠に嵌った人間同士を醜く争わさせる。 人類史上最悪の魔具。 こたつとは本当に恐ろしい、人類を駄目にする堕落の象徴だ。 不思議なことに、これは日本人に限った事ではないのだ。 外国人も一度こたつに入れば、あっと言う間に堕落するだろう。 はたまたペットの犬や猫までも、その餌食となってしまう。 全人類を堕落させてしまう恐ろしい暖房器具、それがこたつなのだ。
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