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チラリと見た先での田代さんはまだお顔も耳も真っ赤のままだったけれど、先ほどまでお顔を隠されていた手は退けられていた。
「僕・・・好きなひとがいるんだ。そのひとと僕は付き合ってる」
田代さんのそのお言葉に僕は自分でもわかるほど目をキラキラさせていた。
それに気づかれたのか田代さんは恥ずかしそうに微笑まれた。
「意外・・・かな?」
「そんなことないですよ!」
僕はそうお答えして消していたフライパンのある方のコンロの火を点けた。
「そう?」
そう確認して来られた田代さんに僕は迷いなく『はい!』とお答えした。
「田代さんのお好きなお方はどんなお方なんですか?」
僕はそうお訊ねしながら熱くなったフライパンに溶き卵を流し込んだ。
ジュワッと言う音と共にフライパンの上に流し込まれた溶き卵がプクプクと膨らみだす。
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