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「・・・あれ? メモ?」
僕はお財布の下から出てきた二つ折りの紙を迷いながらも開いてそこに書いてある文字へと目を通していった。
【雪へ。
買い出し、気をつけて行ってきてください。
桜】
そこに書かれた文字は間違いなく十時さんの書かれた文字だった。
僕は十時さんのそのお気遣いが嬉しくて知らないうちに微笑んでいた。
十時さんは本当に優しいお方で駄目な僕をいつも安心させてくださる。
だから僕は少しでも十時さんに恩返しがしたくて考えて動くのだけれどいつも結果はうまく出てくれない・・・。
「十時さん・・・今日は帰って来られるのかな?」
僕は今夜の夕飯のことを考えながら十時さんのお帰りを気に掛けていた。
十時さんはたまに夜、帰られない時がある。
帰られない時はだいたい出られる時かそれよりも前におっしゃられるけれど、一回だけ何もおっしゃられずに帰られなかった時があった。
その時は本当に不安で怖かった・・・。
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