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彼は下半身の冷えでその異常を察知した。
「ツタコ?」
「ああ、通さん……。どうやら時が来たようです」
「そんな……」
「ごめんなさい。これも耐久消費財の運命。永遠には稼働できない……」
「ダメだツタコ。逝かないでくれ!!」
「通さん、もっとあなたとお話ししたかった。もっとあなたを暖めたかっ……た……」
「ツタコォォォォ!!!」
彼は涙を流しながらその名を叫んだ。
だが、ツタコからの返事は、ついに来なかった。
慌ててメーカーにも電話したが、ツタコの型は古すぎて修理不能という回答が返ってきた。
自らの財を投じてツタコを甦らせようとも考えたが、全てのパーツが別物になったツタコがツタコとして戻って来てくれる可能性は低いと識者に諭され、結局ツタコとの別れを決心した。
「だが、ただの不燃ゴミにはさせない」
彼は自らの財産をすべて使い、ツタコを弔うことにした。
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