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まず彼は山を一つ買った。
そして、その頂上にツタコの為の墓を建てた。
日本屈指の石工に彫らせた、生前と何も変わらぬツタコの姿を墓石とし、その下にツタコの亡骸を収めた特注の木棺を埋めた。
山は二十四時間、厳重な警備態勢が敷かれ、ツタコに近づく不届き物を許さなかった。
そして彼は一通の遺言状を残した。
「私が死んだときには、ツタコと同じ墓に埋めたまえ。できれば、ツタコの中に納めて欲しい二人の姿が長くとどめられるように、出来ればこの体をミイラにしたまえ」
親しい友人に託されたこの願いは、やがてかなえられることになる。
死んだ彼の体はひそかに防腐措置が取られ、山の上の墓へと運ばれたのだ。
どこかの山の上で、通とツタコは今も静かに眠っている。
ツタコの中で通は横たわっているのだ。
その肌は限りなくカサカサだが、その顔は幸せに満ち溢れているという。
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