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「・・・・・・俺なんかの言葉は信用できないかもしれないけどさ・・・・・・」
苦笑を滲ませた希は顔を上げ、ぽかんと口を開いた。希を見つめる男の瞳に、まるで信じられないものを目にしたとでもいうかのような驚きが浮かんでいたからだ。それからなんだろう、何かの痛み・・・・・・? 男は希に見られていることに気がつくと、はっとしたように目をそらした。
「・・・・・・あんたが本気か、それとも口だけか試してやる」
えっと思う間もなく、気がつけば希は男に口づけられていた。男の舌が希の口腔内を探り、男の手は耳の後ろを愛撫するように触れる。自分の反応を窺うような男の瞳と目が合ったとき、希はびくんとした。ぞくぞくっと肌が粟立つような感覚に襲われる。
これは何だ・・・・・・?
男は希から離れると、舌で唇を舐めた。壮絶な色香を放つ男から目が離せないでいる希の態度を誤解したように、ふいにその口元に皮肉げな笑みが浮かんだ。
「気持ち悪かったか」
希はかあっと赤くなった。男の言葉が図星だったからではない、むしろその反対だ。希は男とのキスを明らかに気持ちがいいと感じていた。
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