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 案内されるままに三階へ上がると、ある部屋の入口に小さな金のプレートでRenatusと書かれた表札があった。扉が開き、若いきれいな女性が希を出迎えた。 「柏木さま、お待ちしておりました。本日はどうぞよろしくお願いいたします」  通された部屋でハーブティーを出されながら、いまの状態を記入するシートを手渡された。  室内は心地のよい温度と湿度に保たれ、何かよい薫りがする。訪れた人が居心地よく過ごせるように考えられているはずなのに、希はだらだらと冷や汗をかく思いがした。明らかに自分は場違いじゃないだろうか。やっぱり帰りますと希が席を立とうとしたとき、さきほどの女性が戻ってきた。 「ご記入が終わりましたか? それではお部屋へご案内いたしますね」  次に案内されたのは十畳ほどの部屋だった。ゆったりとした空間の中央にはマッサージ台が置かれ、やや落とされた照明が客に安心感を与える。部屋の奥には湯船が、そしてガラスに仕切られたシャワーブースまである豪華さだ。 「軽く汗を流しましたら、こちらの紙ショーツを身につけて、施術台で横になっていてくださいね。ご用意ができましたころ、外から声をかけさせていただきます」 「え! 服を脱ぐんですか!?」
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