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 机に置いてあった希のお茶を勝手に飲む同僚に、「誰もエロい話なんてしてませんよ。なんでいつもすぐにそっちの話にもっていこうとするんですか」と武居さんは顔をしかめた。 「だって、天国のマッサージだって・・・・・・」 「単なる普通のマッサージの話です! もう、バカじゃないですか! 第一、金井さんのお茶はちゃんと机に置いておきましたよ。柏木さんの分をとらないでください」  ぷりぷりと怒りながら席に戻る武居さんを見て、金井が肩をすくめる。 「そんなに怒ることか?」 「お前なあ・・・・・・」  希は呆れたようにため息を吐いた。 「でも柏木、なんで今朝はそんなに動きが不自然なの? 筋肉痛か?」 「・・・・・・ちょっと休みにマッサージにいって、揉み返しにあったんだよ」 「はあ? マッサージ? 柏木が? なんでまた」 「いいから早く席に戻れよ。もうすぐ始業時間だぞ」  詳しく聞きたがる同僚を鬱陶しそうに追い払って、希は始業の準備をしながら、武居さんには何かお礼をしなければと考えていた。    金曜日。仕事が終わると希は再び赤坂にいた。身体に合わない施術を受け、痛い思いをしたことで、かえってRenatusのマッサージが忘れられなくなってしまったのだ。  武居さんの話によれば、Renatusはかなりの人気で、なかなか予約はとれないという。しかも、希には奎吾に会いづらい事情もあった。  よし、ダメで元々だ。予約がとれなかったら、そのときはきっぱりと諦めよう。  そう思って電話をかけてみると、急なキャンセルがあったとのことで、運が良いのか悪いのか、あっさりと予約がとれてしまった。
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