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年末年始、我が家は一家全員で集まり一緒の時を過ごすのがルールだ。
三人兄弟で姉さん、僕、弟、父、母の五人家族。年末の年越し間近、それは一本のチャイムによって始まりを告げた。
こたつで一家団欒を過ごしていた夜、母はそろそろ準備をするわねと、年越しそばの準備で台所に立った。
母が抜けたことによりこたつには残りの四人が、暖を取っている。僕の向かいに父、左に姉、右に弟という配置だ。年末のお笑い番組を見ながら、ぼーっとしている平和な時間、そんな小さな幸せに浸っていると、その幸せは終わりを告げた。
ピンポーン……
玄関のチャイム、いつもなら母さんが対応に向かうはずだが玄関に向かう気配が無い。
それどころか……
「今、手が離せないから誰か出てー。」
平和が終わりを告げた。
当然というべきか誰もこたつを出る気配が無い。どうする?無言が場を支配し誰も目線を合わせない。一番初めに反応した奴が行かなければいけない空気が、全員の心をよぎっている。
誰か、頼む行ってきてくれ。誰かこの空気を変えてくれ。そんな僕の心を読んだように……
「あんた行ってきなさいよ。」
姉さあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!
悪魔かあんたは!!鶴の一声というべきか、空気をクラッシュしたのは姉の命令だった。
「や、やだよ。寒い、そ、そういう姉さんが、い、行けばいいじゃないか?」
言ってしまった。我が家の貰い手がいないだろう姉さんは、怒ると怖い。僕のこのどもりながらの声は幼少時からの教育という名の恐怖から来ている。
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