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「…なりませんね」
「理由は?」
「友達とか親友って、自然となるものだから。なろうと言ってなれる場合もあるけど、それは一方通行じゃ駄目っていうか。お互いに思ってこそのものだと思うから」
「ということだ。俺への質問の答えも自明の理だろ」
つまり、そこまで知らない相手と恋人になろうと思わない?
なる時は自然の流れでなるもの、と言いたい?
美人だからというそれだけの理由では付き合おうと思わないということか?
「で、何でそんなことを君が気にする? 俺は夏芽のことをふってないだろ」
「自分がその美女たちに勝ってるとはとても思えないからです」
「君が思えなくても俺は思ってる」
「……」
どんな疑問にもズバズバと淀みなく答えてくれる八奈見に、何故自分はむきになって突っかかっているのだろう。自分に自信がないばかりに、八奈見に八つ当たりみたいに質問攻めして、どうかしている。
やっぱりアルコールがまだ抜けていないのだろう。また鈍痛がして頭を押さえると、八奈見がそこを撫でるように触れた。
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