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「あの後大丈夫だった? ごめんね。夏芽くんがあそこまでお酒に弱いとは思ってなくて」  翌週の月曜になって風間は夏芽が出勤するなりすぐ謝ってくれた。  彼は花見の翌日にも携帯にメッセージをくれていたし、つくづくマメだなと思う。恋人には毎日欠かさず連絡するタイプだろう。その点は八奈見と正反対といえる。 「いえ、俺のほうこそご迷惑をおかけしてすみませんでした」  風間だけではなく、他の所員にも謝っておこう。何せ、誰にどんな迷惑をかけたか憶えていないものだから。 「そこまで大したことなさそうに見えたけど、八奈見に怒られるかと思って冷や冷やしたよ…」  長年の付き合いがある風間が恐れているのだから、やはり八奈見が本気で怒ると怖いのだろう。 「あ、そうだ。佐田兄にも会ったみたいだね? 後から遭遇して夏芽くんに会ったって言ってたよ。その時から夏芽くんが具合悪そうにトイレに行ってたって言ってたけど」 「えーと…それはお酒とは全然関係なくて。話の途中で逃げるようにいなくなっちゃって申し訳なかったです」  佐田兄の話を出されて思い出した。彼が連れていた女性。そしてその話をした時の八奈見のことを。
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