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「まあぼーっとしているように見えてそこそこ察しがいい時もあるから、八奈見が夏芽くんを特別扱いしてることはわかってるんじゃないの。どういう意味かまでは不明だけどね」
「それならいいんですけど」
「それにしてもああいう場所って人が多いせいか、知り合いにいっぱい会っちゃった。見つけても話しかけてこないこともあるだろうし、そう考えると誰にいつ見られてるかわからないよね」
まったくもってそのとおりだ。
八奈見と一緒に出かけること自体あまりないが、それでも彼の場合目立つので、ひそかに誰かに見られているということもありうるだろう。八奈見と風間が行動を共にしていても何の違和感もないけれど、夏芽はその歳の差から友人や同僚と判断されないはずだ。どういう関係なのだろう? と邪推されるのも当然のことだ。
弟? 親戚? どういうポジションなら皆納得してくれるのだろう。
「俺、八奈見さんとどんな関係ってことにしておけばいいんでしょうか」
「あー…そうだよね。普通、ちょっとびっくりするからね、あの八奈見が誰かを世話してるとか可愛がってるってこと自体が。多分、僕や佐田が同じことしてても誰も変に思わないんだよ。八奈見だから、『え?』ってなる」
やっぱりそうか…。風間の言葉に納得する。八奈見という男を知っている者からすれば、夏芽の存在は衝撃的なくらいの違和感に違いない。
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