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 まただ。例の時期がやってきた。  周期的に発生するということは、一種の体内バイオリズムか何かだろうか。  前回から数えて何日目に次の周期に入るのかを計算しておけば、それなりに心の準備をしておける。  そんなバイオリズムが世の中に存在するのなら、の話だが。  とりあえずいつものように事態を静観して、原因が判明次第、何らかの対応をするしかないだろう。下手に動いて感情を逆撫でしたら、状況悪化は免れない。一週間経っても何も変化がないようなら、風間やその周辺から情報を得るとする。  避けられることもよそよそしくされることも、もう何度目かのことで流石に慣れた。  だからといって当然のことだが、精神的にはそれなりのダメージがある。  困るのが、仕事中なのに集中を欠いてしまうことだ。 「器物損壊罪の公訴時効期間三年に対し…被疑者を勾留請求せず在宅捜査の申し入れを…検察は勾留請求し、簡易裁判所も勾留…建造物放火罪…刑事訴訟法60条1項2号の『被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある』こと、3号の『被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある』ことに当たるとされ…」  器物損壊で勾留された後に、放火罪で新たに勾留? 放火は器物損壊の前か? 発覚が後だった、と。しかも当時は刑事事件で起訴なし? 勾留請求の準抗告をしたが地裁が棄却、か。それで…  駄目だ。頭に入ってこない。
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