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灰が舞い、マントが風を孕んで大きくはためく。
「どうしてこんなことに……」
ついさっきまで辺りには花が咲き乱れ、公園では鳥達が歌い、商店街では多くの笑い声が響いていた。
そんな、少年の生まれ育った自慢の町が、あっというまに焼け野原になってしまった。
「どうしてこんな……ビット、お前はどこにいるんだ」
絶望に打ちひしがれる少年は、消えた親友の名を力なく呼びかけるが、空しく風に流されただけだ。
少年は見たくもない現実から目をそらし、昼間の幸せな光景に思いを馳せるくらいが精一杯だった。
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