1.ゲスの極み男。

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「天崎さん!?」 さっきまで克彦が座っていた席に、同期の外商事務員である天崎倫音が、真っ直ぐにこちらを向いて着席していた。 「ど、ど、どうして…」 『会社から遠い』 『うちの人間は誰も来ない』 『隠れ家的な店』 に、どうして彼女が!? 「私も、今日予約していたんです」 「え?」 「一人だからカウンター席にいたんです。知り合いがいるからと、お願いして相席にしてもらいました」 やっぱり無機質に、倫音は答えた。 「あの、あの…見た、よね…?」 「『見た』とは、三田課長のことですか?」 ダジャレ混じりの、どストレートな倫音の答えに、佳乃は口に含んだワインを盛大に吹いた。 赤でなく、白を頼んで良かった。
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