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でも、「知り合い」と思って、わざわざ席を移動してくれた。
倫音から距離を縮めてくれた気がしたのと、ワインが程よく回り始めたのとで、佳乃はガードを緩めて克彦との秘め事を語り始めた。
「だからね、奥さんとは家庭内別居でぇ~、もう何年もしてないんだってぇ!」
2本目のワインを開けた佳乃は、すでに舌をもつらせながら、しかし饒舌かつ明け透けに喋り倒していた。
「『してない』とは?」
倫音も付き合って飲んでいるが、顔色も表情も全く変わらない。
「やだ~、天崎さん。『してない』って言ったら、決まってるじゃない!」
「セックス、ですか?」
倫音の答えに、今度は赤ワインを盛大に吹いた。
けれど、佳乃は陽気に笑っている。
「天崎さん、おもしろ~い!」
ケラケラと笑いながら、倫音のグラスにワインを追加した。
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