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昨日、ここで優しく佳乃を引き寄せた右手。
ゆうべ、佳乃の頭を優しく撫でた右手。
あの瞬間は、とても爽やかで格好良く見えた克彦が、急にオヤジ臭く見えた。
青ざめた顔色で荒い息づかいを始めた佳乃に、「ハゲ田」と皆から揶揄される部長の刷毛田が声を掛けた。
「人見君?どうしたの?」
佳乃はブルブルっと肩を小刻みに震わせたかと思うと、その場を走り去った。
「人見君!?」
「部長。私たち、二日酔いで早退します」
「天崎君も?…って、二日酔い!?」
少ない髪の毛を逆立たせて目を丸くする刷毛田に構わず、倫音は佳乃を追いかけた。
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