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ベッドに仰向けになり、掌を天井に向けてみる。
「あ、ネイル…」
就業後の18時に、ネイルケアの予約を入れたことを忘れていた。
「ズル休みしておいて、爪の手入れに出掛けるなんて不謹慎だよね…」
我ながら生真面目だと思うが、体調不良を理由にキャンセルの電話を淹れようと、ネイルサロンの番号をコールした。
店長の南野朱里が明るい声で対応する。
「保湿と保護のトップコートケアだけでもいらっしゃらない?時間は取らせませんから」
そう返答されると、断るのも忍びない。
「商売上手だなぁ、朱里さん」
彼女のような人なら、ゲスな男に流されることなく毅然と生きていけるのだろう。
そう思うと、また少し気が滅入った。
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