2.ゲス男とゲス女。

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ベッドに仰向けになり、掌を天井に向けてみる。 「あ、ネイル…」 就業後の18時に、ネイルケアの予約を入れたことを忘れていた。 「ズル休みしておいて、爪の手入れに出掛けるなんて不謹慎だよね…」 我ながら生真面目だと思うが、体調不良を理由にキャンセルの電話を淹れようと、ネイルサロンの番号をコールした。 店長の南野朱里(みなみの あかり)が明るい声で対応する。 「保湿と保護のトップコートケアだけでもいらっしゃらない?時間は取らせませんから」 そう返答されると、断るのも忍びない。 「商売上手だなぁ、朱里さん」 彼女のような人なら、ゲスな男に流されることなく毅然と生きていけるのだろう。 そう思うと、また少し気が滅入った。
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