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気分を上げつつ佳乃がサロンを出ると、目の前に倫音が現れた。
「ひっ!」
「人見さん、お疲れさま」
「天崎さん…ど、どうして、ここに?」
「ネイルをしに来たんです」
そう言いながら、倫音はチラシの裏を佳乃に向けた。
何やら、色鉛筆で描かれた落書きのようなものが見える。
「それは…」
「ウリ坊です」
「ウ、ウリ…?」
「猪の子です。私がデザインしました。これをネイルで描いてもらおうと思って。私の干支です」
「え、干支…」
勢いに圧倒されている佳乃を尻目に、倫音は素早く『southern』へ入店した。
「何なの、あの人…」
三田課長に「復讐しましょう」と持ちかけたり、行動が謎過ぎる。
だけど、そういえば…
「欠勤のフォローをしてくれたんだった」
それは明日、お礼を言おう。
そう律儀に思いながら、帰宅の途に就いた。
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