2.ゲス男とゲス女。

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気分を上げつつ佳乃がサロンを出ると、目の前に倫音が現れた。 「ひっ!」 「人見さん、お疲れさま」 「天崎さん…ど、どうして、ここに?」 「ネイルをしに来たんです」 そう言いながら、倫音はチラシの裏を佳乃に向けた。 何やら、色鉛筆で描かれた落書きのようなものが見える。 「それは…」 「ウリ坊です」 「ウ、ウリ…?」 「猪の子です。私がデザインしました。これをネイルで描いてもらおうと思って。私の干支です」 「え、干支…」 勢いに圧倒されている佳乃を尻目に、倫音は素早く『southern』へ入店した。 「何なの、あの人…」 三田課長に「復讐しましょう」と持ちかけたり、行動が謎過ぎる。 だけど、そういえば… 「欠勤のフォローをしてくれたんだった」 それは明日、お礼を言おう。 そう律儀に思いながら、帰宅の途に就いた。
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