エピローグ

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「お母さーん!」 そういって幼い私は母のもとへ駆けて行った。 マンションの近くにある公園でとてもきれいな花を見つけた。 母は私を抱き上げ 「大好きだよ、淋漓(りんり)」 と言って私の頬にキスをした。 ハッ 目が覚めた。 ああ、そういえば夜遅くまで勉強していたんだっけ… その途中で寝てしまっていたらしい。 夢…というより、昔の記憶だろう。 かすかだけどこんな場面を覚えている。 平和で楽しかったあの時代に、戻れる日は来るのだろうか… 私の名前は「夢空 淋漓」(ゆめぞら りんり) 中学二年生の女子。 花も恥じらう乙女… みたいなことは全くなく、 ただロボットのように日々を同じような動作の繰り返しで生きている。 今日もまた 学校に行って帰ってきて 「ただいま」 「おかえり」 家族での会話はこのくらいしかしなくなった。 私は勉強をするだけの「キカイ」で 母は仕事と家事をするだけの「キカイ」、 父は仕事をするだけの「キカイ」のようになっていた。 だから、私は 私たち家族のことを「キカイ的家族」 と呼ぶことにした。
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