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あの日②
家に帰るともう母は帰っていた。
調理をしていた。
いつもはこんなに早くないのに、どうしたのだろう。
「ただいま」
「…お帰り」
いつもよりワントーン低い声で母が答える
「遅くなったのね」
「委員会が長引いたから」
「…そう」
「…どうかした?」
「…」
「ねえ」
「あのね、淋漓、あなたの父親はひどい人だわ」
「?いきなりなに?」
「あの人はすべてを捨てていった」
「…」
「あなたも!私も置いて!」
「…」
そういうと母は壊れたように泣きわめいていた。
…私は
一滴の涙も出なかった。
父親もキカイみたいだと感じていたんだろうな。
私もこんな家庭は嫌だった
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