コタツ連邦共和国

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 翌日、学校に行くと、クラスメートのジョンがいなかった。遠くの街へ引っ越しましたと、先生は言ったけれど、そんな大事なこと、誰にも言わずにいなくなるなんて、ジョンらしくないと思った。一緒にサッカーだってしたのに、サヨナラの一言もないなんて。 「あたし、登校中にジョンの妹を見たわ。そこの商店街で」 クロエは嘘つきだ。目立ちたがり屋で、誰かが話しているところに割り込んでは、いい加減なことばかり言って、みんなを混乱させる。トーベはそんなクロエが苦手だった。引っ越したジョンも嫌いだと言っていたし、多分フランシスも、ヒデキも同じ気持ちだと思う。 「引っ越す前に、買い物でもしてたんじゃないか?」 フランシスはみんなよりも大人っぽくて、落ち着いている。テストの成績はいつも一番で、見た目もかっこいい。そして何より、クロエの嘘を躱すのが上手だ。 「ジョンの妹、いつもオシャレだったもんねぇ。服でも買ってたんじゃない?」 ヒデキはフランシスの腰巾着だ。フランシスの行くところには必ずヒデキもついてくる。同い年なのに、子分みたいだ。トーベはフランシスと仲良くなりたいのに、いつもヒデキが一緒だから、なかなか二人きりになれない。
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