コタツ連邦共和国

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 放課後、トーベたちはいつもの公園に集まった。クロエ、フランシス、ヒデキ、そしてマイケル。昨日まではここにジョンもいた。そう思うと、少し寂しい。 「あたし、ジョンを探したいの」 寂しいと思っているのは、トーベだけではなかった。もともと女子たちのグループにいたクロエが、この男子ばかりの集まりに交じるようになったのは、ジョンのことが好きだったからではないかと、トーベは思っている。 「先生は、遠くの街に引っ越したとしか言わなかったけど、何か当てはあるのかい?」 クロエに当てなどあるわけがない。フランシスはわかった上で聞いている。やっぱりフランシスは賢いなと思った。 「そうね…とりあえずジョンの家に行ってみない?近所の人に聞いて回れば、何かわかるかもしれないし」 「イヤだよ、ジョンの家の近くには、凶暴な犬がいるんだ。噛まれたら大変だよ」 臆病なマイケルは、みんなの足を引っ張るようなことしか言わないけれど、今日だけはトーベもマイケルに賛成だった。 「仮にジョンの引っ越し先がわかったとして、僕たちだけで向かうのは危険すぎるだろう?お金もないのに、交通費はどうするんだ?まさか徒歩で行くのか?」 思わず語気が荒くなる。もちろんジョンには会いたいけれど、お別れの言葉もなしに去っていった彼に少し失望していた。友達だと思っていたのに。 「トーベ、どうしたんだい?キミらしくないじゃないか」 ヒデキがにやにや笑っている。フランシスがいなきゃ何もできないくせに。 「俺はトーベに賛成かな。ジョンが何も言わずに引っ越したのにはわけがあると思う。きっとお別れを言うのが辛かったんだ。ここは彼の気持ちを尊重するべきじゃないかな」 フランシスの言葉を聞いて、トーベは嬉しくなった。そうだ。ジョンは僕たちと別れるのが辛かったのだ。だからサヨナラを言えなかった。そうに違いない。
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